胆道(胆管)の病気

胆道の働きとは

胆道の働きとは

胆道は、胆汁の通り道です。肝外胆管・胆嚢・十二指腸乳頭部を指します。胆汁は、肝臓から分泌されます。

胆管(肝外胆管)

肝臓から十二指腸までの管です。胆汁の通り道で、長さは約10~15cm、太さ約0.5~1cmです。

胆嚢

洋梨の形をした袋状の臓器です。胆汁を溜めておく臓器で、長さは約8~10cm、幅が約3~10cmです。

十二指腸乳頭部

胆管が十二指腸に開口する部位です。括約筋によって胆汁の流れを調節し、膵管と合流します。

胆道の代表的な病気

胆管炎

胆管炎は、胆管に細菌感染を起こして炎症している状態です。ほとんどのケースで、胆嚢結石や胆管結石・胆泥などが合併します。胆管は、十二指腸と繋がっているため、腸からの細菌が逆行性によって細菌が流入して炎症を起こします。

胆管炎の症状

主に、右上腹部に痛みが現れ、発熱、黄疸などの症状が現れます。さらに病状が進行すると、胆汁内で増殖した細菌が全身に広がる敗血症を発症させたり、出血が止まらなくなったりして、意識障害や血圧が下がるショック状態などを引き起こします。

胆管炎の原因

胆汁の細菌感染と、胆汁のうっ滞による胆管内の圧力上昇がともに起こった時に胆管炎となります。胆汁のうっ滞を起こすのは、総肝内結石、胆管結石、良性胆管狭窄、胆管がん、膵頭部がん、乳頭部がんなどの悪性疾患が原因となります。

胆管結石・胆嚢結石

胆管は、肝臓と十二指腸を繋いでいる管で、胆汁を十二指腸に送ります。胆石は、肝臓・胆嚢・胆管などにできる結石を言います。胆管結石は症状があるとされますが、胆嚢結石はほとんど症状がないとされています。また、胆管炎や胆管結石は重篤化してそのまま敗血症となるなど、命の危険があるため注意が必要です。

胆管結石・胆嚢結石の症状

結石があるからといって、必ずしも症状があるとは限りません。主な症状は、上腹部痛や発熱、黄疸などが現れます。特に、右肋骨下周辺に刺すような痛みを生じます。また、肩や背中に抜けるような痛みが現れることもあります(放散痛)。
痛みの種類も色々とあり、差し込むような痛みや鈍痛、張り感などが起こります。さらに、皮膚や眼が黄色くなります。しかし、ご高齢の方は無症状のまま突然、意識混濁など意識障害を起こすことがあります。

胆石ってできやすい人はいるの?
  • 家族歴がある
  • 過度のダイエットをしている
  • 脂質異常症を指摘されている
  • 非アルコール性脂肪性肝炎などの疾患を持っている
  • 経静脈栄養など長期間禁食となっている
  • 胃切除の術後・迷走神経切除後
  • クローン病など腸疾患を持っている人
胆管結石・胆嚢結石の原因

胆石は、胆汁に溶けたビリルビンやコレステロールが結晶化したものです。これらの物質が過剰に排泄されることが原因のため、コレステロールなど脂肪分の過剰摂取も大きな原因となります。

  • 炭水化物・動物性脂肪分の過剰摂取
  • 遺伝性球状血球症など溶血を起こす疾患・クローン病など腸疾患のある人
  • 長く禁食をする
  • 多産・経口避妊薬
    などが、胆管結石や胆嚢結石の原因となります。

胆嚢ポリープ

胆嚢ポリープは、胆嚢の内側にできた隆起物を指します。一般的に無症状ですが、内視鏡検査(胃カメラ検査)や超音波検査(腹部エコー検査)などで発見されることがあります。
胆嚢ポリープは、ほとんどがコレステロール・ポリープと呼ばれる良性とされています。そのほか、良性の過形成ポリープなどがあり、これはがんの前段階ポリープや胆嚢がんなども含まれます。悪性のものになると、ポリープが10mm超えるほどの大きさの場合もあります。この場合、精密検査を行って確定診断します。

胆嚢ポリープの症状

胆嚢ポリープは、ほとんど自覚症状がありません。そのため、健康診断や人間ドックなどで初めて見つかるケースが多いです。

胆嚢ポリープの原因

胆嚢ポリープの主な原因は、肥満・脂質異常症(高脂血症)・糖尿病などが挙げられます。このように、胆嚢ポリープとメタボリックシンドロームとは、深い関わりがあるとされています。

胆嚢腺筋腫症

胆嚢内側の壁が部分的に、または全体的に分厚くなる病変です(胆嚢壁肥厚)。肥厚した部位や広がり方によって、底部限局型・分節型・びまん型の3種類に分類されます。腫瘍や炎症が起きていないのに、胆嚢壁が分厚くなります。

胆嚢腺筋腫症の症状

自覚症状がほとんどないため、健康診断などで偶然発見されることがあります。また、胆嚢結石や胆嚢炎などを併発していることがあり、この場合は右上腹部などに痛みや不快感・違和感・背部痛・腹部膨満感・吐き気などの症状が現れます。

胆嚢腺筋腫症の原因

胆嚢内圧が上昇することが原因と考えられていますが、特定される原因は未だ不明です。また、胆嚢腺筋腫症から胆嚢がんが発生しやすいということもありません。

胆道がん

肝臓から十二指腸にかけての胆汁の通り道である「胆道」に生じたがんです。
血液検査、腫瘍マーカー検査、腹部超音波検査、CT検査、MRI検査などを行い、診断します。
※当院では、CT検査、MRI検査を実施していません。

胆道がんの症状

胆道がんの症状には、以下のようなものが挙げられます。
黄疸(皮膚や白目が黄色っぽくなること)は特に、肝外胆管がん、十二指腸乳頭部がんの場合に好発します。

  • 黄疸
  • 右わき腹の痛み
  • 体重減少
胆道がんの原因

はっきりとした原因は未だ解明されていませんが、胆石症や胆嚢腺腫、膵胆管合流異常症などが発症に影響しているものと考えられています。

胆道がんの予防

以下のような取り組みによって、胆道がんのリスクを下げられると言われています。

  • バランスの良い食事
  • 禁煙
  • 禁酒、摂取
  • 適度な運動
  • 肥満の解消
  • 感染予防

胆道・胆管異常の疑いのある方は当院へご相談ください

胆嚢腺筋症と胆嚢がんは直接的な影響はないとされていますが、腹痛などがある場合は、様々な可能性があるため、胆嚢摘出術を行うこともあります。また、胆嚢ポリープなども、大きさなどから胆嚢がんが疑われる所見などがあることもあります。
胆道・胆管異常を指摘された方は、適切な診断と治療が必要です。胆道や胆管異常について気になる方は、なるべく早めに当院までご相談ください。

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お問合せ 072-256-2330